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風景写真家・松井章のブログ

グランドキャニオン・トレッキング⑤:植生と気候帯の驚異

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グランドキャニオン上部のサウスリムから、最深部コロラド川への行程で目にするのは、劇的ともいえる気候帯の変化になるだろう。
サウスリムはカナダに通じる寒冷な気候であるが、下がるに連れて気温は上がり乾燥したメキシコの砂漠気候へと変化していく。
わずか10km前後の移動で、これだけ気候が変化する場所は世界でもなかなか目にすることはない。
4月上旬は、グランドキャニオンの早春に当たる、ワイルドフラワーの季節。
コロラド川付近では既に花の時期は終わっているが、標高1,200m~1,800m前後の地域では、様々な花が咲き乱れていた。重いザックを担いだまま、トレッキングの歩を止めてしゃがみこむのが億劫で、あまり写真を撮らなかったのは小さな後悔であった。
リュウゼツランは5mほどの尖塔のような茎を伸ばしている。数十年にたった一度だけ開花して、儚く枯れてしまう。その花の蜜だけで生きるハチドリもいる。
サボテンの花もいたる所で開花する。場所によっては、サボテンのお花畑といえるほど咲き乱れている。
どうやら春は、咽せ返るような生命の勢いと、散って行く儚さが同期しているようだ
休憩をするとサボテンの陰から地リスが現れて餌を物色する。空を見上げれば、カリフォルニア・コンドルが大きな翼を広げて悠々と空を舞う。
サウスリムで見かけた巨大な鹿・エルクは標高を下げると姿を消し、代わりに中型のミュールジカが現れる。
季節は明らかに春を迎えていて、生き物はいきいきと活動を始めたところであった
グランドキャニオンで最も美しい季節は、間違いなく春であるだろう
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