グランドキャニオンの谷底、コロラド川の渓谷に流れる時間は独特です。
数百メートルの絶壁の渓谷に差し込む光線は、この世ならぬ美しさを演出します。細かい粒子の砂浜に座り込み、静寂に川の音だけが聞こえる。
ひとたび川を背にすると、トレイルは一気に登りとなります。地層が花崗岩から何種類もの堆積岩の層へと変化していきます。陸上に生物の存在していない12億年前から、陸上に昆虫と両生類が繁栄した約3億5千万年前の地層へ上がります。
2日目の目標は、標高1200mです。最深部へ下る大地の割れ目の一歩手前は、台地状になっていています。グランドキャニオンの“中段”に当たります。
その中段のキャンプは、サウスリムの大岩壁にぐるりと囲まれています。見事な円形劇場(アンフィシアター)を見上げる展望が三方を占め、もう一方の展望はグランドキャニオンの峰々が延々と遠く連なります。
クリークの灌木林の中にテントを張り、天候の改善を待ち、大展望のプラトー・ポイントへ。