約100年前の無限にも見える荒野で、最初の一回の鋤を入れた人の気持ちは、どんなものであったのか考えることがあります。
開拓する荒野で、家族(あるいは単身)で行う作業は遅々として進まない苦しい日々、そんな毎日を過ごして作り上げたのが、パタゴニアのエスタンシアです。壮大な積み重ねの結果を今パタゴニアで見ているのです。
きっと世の中が便利になればなるほど、人は歩を早めてしまうのだと思います。
日々の積み重ねという、算数でいえば「足し算」こそが、本物の結果を生み出す鉄則であるはずですが、ついつい効率や欲から「かけ算」で考えてしまう。
これは悪い癖だなぁと思い、開拓者の気持ちで一歩一歩「足し算」で積み重ねていきたいと、ふと思うことがあります。思考の癖を直すのは大変ですが、積み重ねる意識を大事にしたいものです。
脚本家・倉本聰さんの著作『 獨白(どくはく) 』の「一寸引き」についての一文を思い出します。その引用を下記に記しましたので、時間のある方は、お読みください。
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「一寸引き」ってのはね、こういうことなんだ。
とても手に負えない重いもの
たとえば太い木の根っ子とか大きい岩なんかを動かすには
一度にバッと動かそうとせずに時間をかけて
一寸ずつ動かせ。そうすりゃいつかは動く。
これはもう哲学だっておもったね。
文明はいまや即席の時代に入ってる。
すぐに結果をだすことを求めて、そのために
金やエネルギーを使う。
早く結果のでることが善で、時間のかかることは
避けなければならない。
果たしてそのことが正しいのかって、
生まれて初めて俺は考えたね。
たぶん、この頃からだと思うんだ。
人の生き方の「座標軸」ってものを
どっかで意識し始めたのは。
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※『 獨白(どくはく) 』(倉本聡著)から引用