アマゾン川の源流域に位置する、ボリビア・アアゾンのヤクマ自然保護区は、野生動物を観察するのに非常に適した場所です。「野生動物の楽園」と言ってもいいでしょう。
アマゾンといえば、どこでも野生動物を見れるように思われがちですが、実際には野生動物を多く見れる場所はわずかです。各地で開発が続き、野生動物の生息域は日に日に狭められているのが現実だからです。たとえば、ブラジルのアマゾンではマナウスが有名ですが、本当の野生を体験するためには何日も上流へ上がる必要があります。そこには中流域のアマゾンとしての別の魅力があります。
簡単に野生動物を見れる場所に行けて、なおかつ冒険的な体験をしたいのであれば、ボリビア・アマゾンをお勧めします。
ボリビア・アマゾンでも特に野生動物が多いのが、「ヤクマ自然保護区」です。ジャングル・ロッジに宿泊しながら、ボートを使いアマゾン川の源流域を巡ります。
川幅が狭く、岸にはワニがたくさんいます。そのワニの数は、信じられないほどウジャウジャいます。日が差し始めると、ワニは日光浴を始めます。口を半開きにして、じっとしています。どうやらワニを目を開けたまま昼寝ができるようです。羨ましい!亀も日光浴のために現れます。
現地ガイドさんは野生動物の生態に精通しています。そのガイドさんが見つけてくれる動物は、リスザルです。どこにでもいるわけではないので、ガイドさんはサルの鳴き声を真似ながら、川を移動します。その真似に誘われて、サルが集まってきます。群れで活動するリスザルは、人がエサをくれることを期待して集まります。餌付けは禁止されているので、袋をガサガサ鳴らすだけですが、見事に集まります。袋の音で集まるということは、心無い人が餌付けをしている可能性が高いわけですが、それでもリスザルに会えると嬉しいものです。手のひらサイズの大きさで、全く人に危害を加えない愛らしい猿です。
アマゾン川の主役といえば、川イルカではないでしょうか。ピンク・イルカとも呼ばれます。年齢を重ねるにつれてピンク色が濃くなっていきます。イルカに遭遇するチャンスはたくさんありますが、写真を撮るのは非常に難しいです。泥色に濁った川では、どこにイルカがいるかわからないからです。呼吸のために背中を見せますが、すぐに潜り、次はどこに現れるかわかりません。ボートのエンジン音に誘われて来るので、エンジンの音を時々立てながら、静かにイルカが姿を見せるのを待ちます。
ピンク・イルカは淡水に適応した貴重なイルカです。川に適応したために、海のイルカのように飛び上がることはありません。乾季には水が減るので、飛び上がると川底に激突するからです。なるほど。
この貴重なピンク・イルカと簡単に遭遇できるのは、広いアマゾンでも、ボリビアだけであるでしょう。
ピンク・イルカの尾
ボリビア・アマゾンの適期は、5月~8月頃となります。雨季が終わり、乾季が始まる時期です。雨季と乾季では、川の水位に5~6mの差があります。雨季の冠水期には水浸しの森に野生動物も散ってしまうので、乾季が始まり川幅が狭くなるこの時期が、野生動物を見るのは最適となります。
毛細血管のように南米大陸を覆うアマゾン川は、まさに南米の命の源です。
川岸を見ると水位が下がっていることがわかります。
野鳥の数も多く、朝には多くの鳥を見ることができます。日が暮れてから暗くなり、真っ暗な中、ボートで移動します。ヘッドランプの明かりを川岸に向けると、キラキラと反射する点があります。それらの無数の点は、ワニの眼です。ヘッドランプを消して空を見上げると、ホタルが飛んでいます。
一味違うアマゾンを体験したい方に、ヤクマ自然保護区をお勧めします。
次回は、少し下流(アマゾン全体でみると源流域)での、クラシックな船の旅を紹介します。
カピバラ
アマゾンの朝焼け
ピラニア