人が生きるには土地が必要だ。土さえあれば、貧しくても人はきっと生きて行く事ができます。
フィデル・カストロが先導するキューバ革命という事象は、その「土」を取り戻すために引き起こされました。キューバ革命は、まさに『文明論』であるなと、いつも思っています。
ゲバラのような優しい青年に武器を取らせ、「祖国か死か」と悲壮な覚悟を持って、民衆は立ち上がりました。
キューバは、英雄ホセ・マルティによるスペインからの独立後、圧倒的な財力のアメリカに徐々に土地を買われ、人々は隷属していきました。その苦い経験をもとに、土地を離すことがいかに危険であるかを知ったのではないでしょうか。革命後には、西側世界による経済封鎖や侵略などにより多大な犠牲を払ってきましたが、キューバは屈服しませんでしたし、決して「土」を渡しませんでした。生活は困窮しても、ひたすら国土を守り抜いています。そして、どんなに封鎖されても、貧しくても、キューバは生き残った、この事がキューバ革命の偉大な成果であり、消費文明へのアンチテーゼであると思っています。経済よりも、「土」を守ることを優先しました。考えてみれば当然のことなのに、現代の資本主義では「土」への執着が希薄になり、目先のお金に目が行くようにできている気がします。
新自由主義経済の中で、消費することは豊かさに繋がる事として、消費することを勧められます。お金を回すことで豊かになるという発想は「我欲」を増幅させるだけで、その「我欲」により地球環境はまさに瀕死の状態です。そうして一部の人は豊かになり、多くの人は翻弄されます。
キューバは、圧倒的な軍事力と経済力を持つアメリカに抵抗して、必死に生き残りました。世界から孤立して、物資が慢性的に不足しました。車は壊れても直し、何十年も使うのはキューバでは普通です。食料が足りなければ、自分たちで街中にでも小さな畑を作る。それを支えるのが、地域に根ざしたコミュニティの役割です。困難な状況を「知恵」で生き残る術を持つキューバ人は、強いと思います。
そんな貧しい国が、アフリカに医師を大量に送る「国際主義」というものは、立派な思想だと思います。
もちろん裏の面もあり、体制維持のためには非情な対処をしているでしょう。「祖国か死か」の革命戦士が今も中心にいるわけですから、良くも悪くも命がけで革命を守っています。
現代の反米主義に基づく南米の左派政権を支持するわけではありません。いろいろな問題を直に地元の人から聞き、私も煽りを食らうことがあり、社会主義の難しさを感じています。しかし、キューバ革命(今も進行中)という事象には、とても興味があり、学ぶことが多いと思います。
これは、遠い極東の島国に当てはめて考えてみるとどうでしょう。
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