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風景写真家・松井章のブログ

先住民の伝承による、山や土地の名前

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パイネ山群
世界の山や土地には、先住民が付けた名前があります。それらの名前は何百年も伝承された名前です。
産業革命以降に、時代は大きく変わり、先住民は駆逐され、山や土地の名前が変えられました。
私は、すでに旧世界の言葉と化したそれぞれの単語に、深い愛情を感じます。国の関係はなく、それぞれに私の心の琴線に触れる単語です。
いったいこの差は何なのでしょう。旧世界の人々がアニミズムを信仰し、日本人も根本では今もアニミズムの要素を持っているという事からでしょうか。それとも、単語そのものに、ある種の「力」が込められているのでしょうか。
特に山の名前は、先住民の付けた名前から変更されて、人の名前を付けられています。
たとえば、下記列挙してみます。
●パタゴニアのフィッツロイ山:本来の名前は「チャルテン」・・・「煙を吐く山」を意味します。
●エンジェルフォール:本来の名前は「パラクパ・ベナ」
●パタゴニアのパイネ・・・「青」を意味します。これは、そのままです。
●アラスカのマッキンリー:本来の名前は「デナリ」・・・「偉大なもの」を意味します。
●エベレスト:本来の名前は「サガルマータ」、「チョモランマ」
●マウント・クック:「アオラキ」
これは、我が国でも同じです。アイヌ民族の言葉には、魅力があります。
●ピリカ・・・「美しい」
●コタン・・・「村」
●アイヌ・モシリ・・・「アイヌの土地」
●アイヌ・・・「人間」
●ルーウェ・・・「雪」。なんと、アイヌの人々は、雪の性質に応じて10以上の雪の名前を持っていたそうです。
●カムイ・・・「神」
●ヌプリ・・・「山」
少数民族の言葉が持つ本来の美しさ、多様性、それが失われていくのも時代の流れでしょうか。
先住民がいないのに、地名だけが残る現状も寂しいですが、しっかりと根付いて歴史の証人として残って欲しいです。そして、彼らが持つ「神話」の世界を残すのも必要に感じます。
パタゴニアの話に戻せば、パタゴニア開拓史という苦難と冒険の歴史を学びながら、先住民の歴史も同時に学ぶ必要を感じています。
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