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紫トウモロコシのジュース「チチャ・モラーダ」とは
ペルーで愛される2つのジュースといえば、「チチャ・モラーダ」と「インカコーラ」です。どちらも濃いめの甘さが特徴です。
この2つの飲み物はペルー全域で、老いも若きも頻繁に飲んでいます。
チチャ・モラーダの原料は紫トウモロコシで、ジュースやお菓子作り専用で、料理には使用されないトウモロコシです。この紫トウモロコシを、パイナップルの皮、シナモン、リンゴなどと一緒に煮込み、最後に大量の砂糖とレモンを入れたのが「チチャ・モラーダ」です。
トウモロコシの味よりも、パイナップルの味の方が強いほどです。赤ワインと同じくアントシアニンが豊富で、スーパーではチチャ・モラーダの素も粉末で売っています。
チチャ・モラーダにコーンスターチを入れて緩めに固めた「マサモラ」は、ペルーを代表するデザートです。
チチャ・モラーダは「紫色のチチャ」という意味です。
それでは、「チチャ」とは何でしょうか
トウモロコシのどぶろく「チチャ」
「チチャ」とは、ペルーのアンデス高原で、インカ系先住民ケチュア族が飲むトウモロコシのどぶろくです。都会にも田舎にも、チチャ専門店「チチェリーア」は多くあります。
このチチャ屋には看板がなく、目印は竿の先に括り付けられた赤いビニール袋です。日本でいえば、赤提灯のよなもので、アンデスの村に行くと、あちこちにこの目印を見つけることができるでしょう。
チチャ屋でチチャを飲むと、一杯で1リットルもあるような巨大なグラスで渡されます。アルコール2%ほどで、酸味が非常に強いお酒です。持ち帰りの場合には、瓶やボトルではなく、ビニールに入れるところがペルー的です。
チチャの作り方
何百種類もあるトウモロコシの中で、チチャに適しているのは、黄色トウモロコシです。まず、大豆からモヤシを作るのと同じように、トウモロコシの粒を水に浸して発芽させます。そのトウモロコシを石臼で粉状にしてから、大鍋で数時間ほど煮ます。それから大きな壺に移して、数日ほど寝かせれば、チチャの出来上がりです。
地域によってはキヌアやキャッサバイモを使うこともあります。
チチャの歴史
チチャの歴史は古く、インカ帝国以前に遡ります。祭礼には欠かせない飲み物です。今も神様に捧げる聖なる飲み物としての側面もあります。
◎ケチュア族のミスミナイ村の生活風景(ペルー)
◎ケチュア族のミスミナイ村:信仰に根付く生活風景
かつては、チチャは人が噛み、唾液の消化酵素でアルコール発酵させていました。