パタゴニア先住民の各部族にとって、グアナコは大切な生活の糧であった。
肉は食糧に、毛皮は衣服やテント型住居の覆いに、腱は糸として使われ、骨は矢尻や釣針に加工された。
19世紀末に開拓が本格的に始まると、先住民は一気に駆逐されて姿を消した。その後を追うように、パタゴニアの風景の代名詞ともいえるグアナコも激減することになる。
エスタンシア(大牧場)の私有地として、パッチワークのように裁断されたパタゴニアの草原は、有刺鉄線によって分断されてしまう。
羊の放牧管理のための有刺鉄線だが、それは野生動物の移動にも大きな影響を与えたのだ。