パタゴニアの針峰群の上空に現れたオーロラのように揺らめく雲を、夕日の一線が幻想的な「色」に染め上げた。世界そのものが異次元に迷い込んだかのような息を飲むような瞬間。同じ場に立ち会わせた人々も言葉を失い、じっと空を見上げていた。
パタゴニアに訪れる朝日や夕日は、世界を一瞬だけ別の次元に変えてしまうことがある
このときの心の高揚は例えようのないもので、幸運にも何度かそんな瞬間に立ち会っている。いま自分はとんでもない瞬間に遭遇しているのかもしれない、その予感が「心」と「世界」を共鳴させる。
自意識に束縛された孤独な自我が、ほんの一瞬だけ世界と同一化するような恍惚とした瞬間だ。
静寂の中で、目まぐるしく変化する大自然のショーはあまりにも想像を超えている。
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そんな瞬間をどれだけ映像や写真で伝えることができるだろうか。
あのパタゴニアの朝日や夕日の感動を伝えるために、カメラを通してどこまでできるものか。そして、人生の中で、劇的な風景に遭遇できる幸運は思ったよりも少なく、生きている内にあと何回出会えるだろうか
カメラを介して手に入れる2次元の写真や映像に、恐れ多くもこの世界の幾らかでも転写しようとする。その転写という作業には、人の心が大きく左右するようだ
感性を通して、いかに幻想の世界・ファンタジーを見せられるか、それは大きなテーマだ。
地球上で、「地の果て」と呼ばれる辺境地区は劇的な自然の表情を見せてくれる。無限とも言える地球の壮大なリズムが見せる、激しく躍動的で「地球が生きている」ことを実感させる瞬間だ
カメラを通して世界を転写する。世界のごく一部を写しこんだ映像に、感性というファンタジーを加味したならば、きっとあのときの感動は伝わるに違いない
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