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高原サボテンの群落
ペルー・アンデス高原の山岳地帯のサボテン「学名:Tephrocactus floccosus(またはTephrocactus rauhii)」を見つけたのは、ペルー中央部のワイワッシュ山群の草原でした。5000m峰がずらりと並ぶ大展望の斜面で、山岳展望に見惚れていたら、危うく踏んでしまいそうになったときに、その存在に気付いたのです。
白い綿毛に覆われた可憐な見た目とは裏腹に、よく見るとびっしりと針に覆われています。サボテンの針はとても強く、薄い靴の靴底であれば貫くほどなので、中南米では地面のサボテンにはとても気を付ける必要があります。
このサボテンの美しさは、その綿毛にあるでしょう。俗に“セーター植物”と呼ばれる高山植物です。標高4000~5000mの厳しい気候に順応して、効率よく保温するために自らを綿毛に包んでいると言われます。また、花粉の媒介を行う昆虫の避難所という役目も果たしているともいわれます。
この高原のサボテンは、他のサボテンと同じくコロニーを形成して、カーペットのように50cm前後の群落で生育します。オレンジ色や黄色の花を咲かせ、熟した実は炎症を抑える塗り薬として役立ちます。
冷たい風が吹き、陽光の出没により大きく気温を変えるアンデスの山岳地帯には、標高の低い平地とは様相がだいぶ異なる植物が生えている別天地です。天上の別天地で山を望み、高原性の植物やアンデス独特の動物を観察するには、ペルー中央部のブランカ山群やワイワッシュ山群(アンカシュ県ワラス)は理想的なエリアです。