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パタゴニア・フィッツロイ峰の神美的な魅力
天を突くような針峰群が草原の彼方に現れると、何度訪れてもその存在感に圧倒されてしまう。
パタゴニアのフィッツロイ峰は、その類まれな容姿で、半ば神格化されるほどに美しい山です。
山麓にチャルテン村が建設されてまだ約30年ほどですが、村人のほぼ全てが、このフィッツロイ峰に魅了されて移住をしてきた人々です。
草原の一本道を進み、チャルテン村に近づくほどに迫力はさらに増してきます。車を止めて写真を撮りますが、何度止めても切りが無く、さらに山はどんどん大きくなっていく。
チャルテン村周辺で望むフィッツロイ峰は、奇跡的なほどに完璧なアングルです。
そうしてチャルテン村から山麓へ、徒歩でさらにフィッツロイ峰の懐に入っていきます。
見上げるほどに近づくと、フィッツロイとは自然が作り出した神殿、あるいは伽藍と呼ぶべき存在なのだと理解できてしまいます。
原初的な畏れと感動が同居する感情は、人類がまだ猿だった時代に遡る「宗教」の発端のような感情だったのか。
霊長類学者ジェーン・グドールの著作「森の旅人」を読んでいて、フィッツロイに感じる感情の正体にはたと気づかされました。