朝3時、満点の星空を確認して、キャビンを出発。
村から10分も歩くと、人工の光のない本当の暗闇となります。ヘッドランプの光を頼りに真っ暗闇を歩く。歩き慣れた道なので、ちょっとした地形の変化で現在位置も分かるので、鼻歌を歌いながら闇の中を歩く。なんて自分は幸せなのだろうとしみじみ感じられる瞬間です。
休憩の時にはライトを消して、空を見上げると信じられないほどの星が空で輝いています。天の川もはっきりと見えるほどの星空の下で、宇宙の神秘や人間存在の不可思議などを少し考えつつ適当に切り上げて、また黙々と歩く。そばの藪に気配を感じて、藪をじっと見ていると、2つの光の点が動いています。最初はびっくりしますが、動きを見ていてそれがキツネの目であることがわかります。
うっすらと明るくなり始めた朝7時頃、山上の湖トレス湖に到着。骨に滲みるような寒さの中、太陽の光がフィッツロイに当たるのを待ちます。
パタゴニアにいると、太陽の力・大切さをとても強く感じることがあります。陽が当たる時の暖かさと、逆に陽の当たらない場所の凍てつくような寒さ。そのような場所にいると、陽の光を切に望むものです。
秋の夜明けは遅く、朝8時過ぎにやっと陽が上ります。陽光がフィッツロイに当たり、黄金に輝く。何度も繰り返し見ている光景ですが、やはり何とも特別な瞬間に立ち会っていることを感じ、とても幸せな時間です。