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生命溢れる南極の初夏に
1月の南極は、生命が最も躍動する初夏です。
南極点から約2600kmくらい北に位置する南極半島のネコハーバーでは、日没は23時・日の出は3時頃でした。
ほとんど陽が沈まない白夜です。
海も生命に満ち、ペンギンを始め、アザラシやクジラも南極半島に集まります。
氷の間から顔を出す岩場は、ペンギンのコロニー(ルッカリー)となります。
陽に岩が暖められるので、氷の上より暮らしやすいからでしょう。
ペンギンたちは、どこまでも斜面を登り、見晴らしの良い場所でくつろいでいるようでした。
なぜこれほど高く遠くまで歩いてくるのか、その理由が分からず不思議です。毎日、海に出るのなら、片道何時間もかける行程より、海辺の岩場にいる方が簡単だからです。
春から夏にかけて、ペンギンは子育てをします。
午前中は雛鳥を一カ所に集めて、親鳥たちは漁に出ているようでした。
漁から戻ると、自分の雛鳥を見つけて、口移しでオキアミや魚を食べさせます。
無数のペンギンたちは、岩場に沿って、山を覆うほどたくさんいました。
ほとんど人が来ることの無い極地のペンギンのコロニーでは、たとえるなら「ガリヴァー旅行記」の小人の国に迷い込んだかのようで、人間は別世界からの訪問者に過ぎないようでした。
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南米を始め、南極などの「地の果て」で撮影した写真を1冊の写真集にしました。