目次
ドレーク海峡を越えて、南極大陸で迎える朝日
南極大陸に到着して初めてその姿を見たのは、日の出の時間でした。
南米最南端のウシュアイアを出航して、ドレーク海峡の荒れた海を越え、丸3日間もかけた航海です。
夜明けに響く艦内放送は、船が南極大陸に到着したことを教えてくれました。
部屋の丸い窓から外を覗くと、延々と続く氷の大地が、ちょうど夜明けの光に照らされています。
パタゴニアでいえば、ペリトモレノ氷河が地平線まで延々と続くような、途方も無い氷の規模です。
氷の山々は、どこまでも金色に輝いています。
それはわずか20~30分ほどだけ続く劇的な瞬間です。
慌ててカメラを持って甲板に出ると、同じように艦内放送で起こされた乗客が、朝日に輝く南極大陸に溜息をつくように見とれていました。
ほとんど風もなく、南極は静けさに包まれています。
しばらく朝日に見とれている間も、船は陸地に接近して行きます。
再び艦内放送があり、クジラが船に並走していると知らせています。
しばらく甲板の乗客たちとクジラ探しをしていると、船の近くで泳ぐクジラの背中を見つけました。
背中しか見せてくれませんでしたが、潮を吹く瞬間の大きなクジラの息遣いは、いつまでも忘れないでしょう。
南極大陸に到着した日の朝日は、一生忘れないほどのインパクトでした。