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生き物のように動く氷河の痕跡
パタゴニア地方を南北に縦断するアンデス山脈は、南極から吹く湿った偏西風により、膨大な降水量を受け止めます。寒冷な地域なので、雨よりも雪として降り、山脈に氷原を形成しました。
大きな盆地を埋めるように、厚さ1000mとも言われる氷の塊です。パタゴニアに数百ある氷河の源は、この氷原(パタゴニア氷原)なのです。
この源流域から数千年かけて流れ落ちる氷河は、まるで生き物のように動き、谷を削り湖を形成しました。
いま私たちは温暖化の時代を迎えて、パタゴニアでも大半の氷河は後退しています。
この後退の速度が特に早い「ビエドマ氷河」では、1年間で数十メートル後退しているともいわれます。氷河が消滅した谷には、まだ植物も生えていないほどです。
何万年、何十万年と氷河の底で削られ続けたので、谷の岩はツルツルに磨かれています。
この氷河に削られた岩を見ていると、縦の筋が無数に入っているのがわかります。これは「擦痕(さっこん)」というもので、この痕を見ることで、氷河がどの方向に流れていたかを知ることができます。
さらに、かつて氷河はどこまで・どのように分布していたかなどをも知ることもできます。
いまパタゴニア、そして南米のアンデス山脈のあちこちで、「擦痕」が露出した新しい谷を見かけます。つい数十年前まで氷河が流れていた場所です。
植物が進出する速度よりも氷河の後退する速度が勝っている氷河谷を見ると、温暖化に伴う水資源の消失を実感します。
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