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オホーツク海に押し寄せる流氷
2月上旬、流氷がオホーツク海の沿岸に押し寄せます。
北海道の道東の沿岸線は「流氷街道」とも呼ばれ、特に紋別から知床半島にかけて、海が水平線まで流氷に覆われることがあります。
網走から知床半島のウトロまで、流氷を見ながら移動しました。
今回は、網走から白鳥が集う濤沸湖までを紹介します。
流氷はどこから来るか
流氷は、オホーツク海の最北部、カムチャッカ半島の付け根に当たる巨大な湾のように三方を陸地に囲まれたシベリアの極地で形成されます。アムール川から流れ込む大量の淡水が混ざり込む塩分濃度の低い海域では、氷が張りやすいからです。
このように北極地方で形成された氷が、北緯44度付近の北海道まで南下してくることは、世界でも稀な自然現象と言えるでしょう。
流氷の海へ/網走の観光砕氷船「おーろら」
厳冬期の北海道東部(道東)では、最高気温でも零下、最低気温がマイナス20度を超える日もあるほどに、1月・2月は冷え込みます。西高東低の冬型の気圧配置により、大陸のシベリアから冷たい空気が流れ込むからです。
網走周辺は特に冷え込むので、河川も湖も完全に結氷しています。ワカサギ釣りのベストシーズンでもあり、網走湖では湖上の雪原にいくつものテントが見えます。中では、氷にドリルで穴を開けてあるので、テントの中で釣りをすることができます。
海岸線に出ると、天気が良ければ、東の対岸に知床連山がうっすらと見えます。右は斜里岳に始まり、知床連山では羅臼岳を中心に屏風のようにそびえて、白く輝いているでしょう。
網走の冬の観光の名物といえば、観光砕氷船「おーろら」です。網走沖で海をびっしりと埋め尽くす流氷帯の中へ、バリバリと氷を砕きながら航行します。
網走港を出港して、流氷が流れて来ている場所へ向かいます。網走港の周辺には、越冬するために来た多くの野鳥を見ることができます。
港の周辺にも白鳥が休憩していました。
出航して10分もすると、遠くに流氷が見えてきました。海面が白い氷に覆われていることが分かります。
まず最初に見えてきたのは、“流氷の子供”ともいえる「蓮の葉氷」です。海水温が零下で、風の無い時に成長する氷で、海にできる海氷の一種です。
流氷帯に入ると、砕氷舟はバリバリと氷を砕きながら前進します。厚さ1~2mと思われる分厚い氷が、文字通り海を覆っています。
網走付近の流氷は、帯状に海を漂っているので、網走の沿岸に押し寄せることもあれば、このように沖で漂っていることもあります。
▲流氷の向こうに能取岬が見える
流氷帯の風景は実に迫力があります。1時間半ほどの航海はとても中身の濃いものでした。
流氷は風向きにより網走沖に来ないこともあるので、この日は運が良かったです。
白鳥の湖「濤沸湖(とうふつこ)」へ
網走を出発して、東の知床半島を目指します。
オホーツク海を見ながら小清水町に差し掛かると、濤沸湖に到着します。
ここは白鳥(オオハクチョウ)の飛来地として有名な汽水湖です。汽水湖とは淡水と海水が混ざる湖です。
白鳥は、春から夏にかけては、シベリア北部で過ごし、10月頃から越冬するために、道東に渡ってきます。
白鳥を観察できる白鳥公園では、数羽の白鳥が集まっていました。途中、遠くから別の数羽が飛んで来ると、喜びを表すように羽を広げて大騒ぎしていたのが印象的です。