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パタゴニアを象徴する暴風
パタゴニアを訪れると、壮大な風景や不思議なレンズ雲に加えて、風もまた大きな思い出の一つとなります。
日本では台風のときにしか吹かないような風速20mを越える暴風です。
この暴風が日常となっているので、屋内にいるときにも、風がゴォゴォと音を立てて壁や屋根に当たる音が常に聞こえてきます。
風の音が聞こえない方が非日常であり、そこに異変の前兆ではと心配になってしまうほどです。
暴風が本気を出せば、人が立っていられないほどの風速で、上空からジェット機のような轟音が聞こえて来ることもあります。
風向きに斜めに育つ木
パタゴニアでは、全ての生物が風の影響を受けながら生きています。
木は風向きに合わせて、斜めに育つほどです。草原や谷で、木がまるで人が手を広げているような奇怪な姿をあちこちで見るでしょう。
かつて大航海時代には、ヨーロッパ人が、パタゴニアを異界の入口と考えて近寄らなかったことも、うなづけるというものです。
特に、風という自然に柔軟に対応して姿かたちを変える“南極ブナ”の木は、パタゴニア中で繁栄しています。
木々は身を寄せ合いながら、長い年月をかけて森を作りました。森に入ると、外の暴風が嘘のように静かなことに驚きます。たとえ上空から轟音が聞こえてきても、森にはそよ風ほどにしか風が吹いてこないのです。
といっても、風が当る木の上部には常に強烈な負荷がかかっているので、木の寿命はたいていは百年ももたずに、風によって倒されてしまいます。
南極から吹く暴風
パタゴニアに吹く風の源は南極です。正確には地球の自転を動力に、南極大陸を周回する“南極海流”が源です。この海流に合わせて吹く強烈な偏西風が、南米大陸の南端部に当たります。
南極還流の影響を受ける地域を「亜南極」と呼びますが、パタゴニアはまさに亜南極にあたるのです。
そして、この風がさらに勢いを強める場所が「パタゴニア氷原」です。アンデス山脈に沿って谷を埋め尽くす氷は、氷床または氷原と呼ばれ、パタゴニア氷原は南極、グリーンランドに次いで世界で3番目に大きな氷の塊です。ペリトモレノ氷河を始め、ほとんどの氷河はこの氷原が源流で、氷原からあふれ出た氷の川が氷河なのです。
南極から吹く風は、アンデス山脈という壁にぶつかり、大量の降雪をもたらし、氷原を形成しました。この氷原に吹く風はパタゴニアで最も過酷な風です。氷原から下界に吹き下ろす風は、谷に集約されるとさらに強さを増します。谷に吹き下ろす風は風向きを絶えず変化させながら、まるで襲い掛かるように四方から吹くことがあるほどです。
パタゴニアにいれば風による影響は避けられず、いろいろな風にまつわる体験がとても良い思い出になります。
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