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レンソイス砂漠の小さな生態系
レンソイス砂漠では、生き物の気配は希薄ではあるものの、やはり生命は逞しく砂漠に適応して生態系を作っています。
レンソイスで一番不思議な生き物は、“魚”です。
体長3cm~5cmほどの小魚が群れを成す湖を時々見受けます。
乾季の後半に湖が枯れてからは、水分を含む砂の中に潜り込んで次の年を待つとも言われます。
しかし、どの湖にもいるわけではなく、年間を通して水のある湖や、砂漠の水が集まるネグロ河にいるのが基本です。
ネグロ河は砂漠の水が集まり大西洋に注ぐ、清冽な大河です。
アマゾンから流れるプレギサス川は、レンソイス砂漠の“砂”の源として、大量の土砂を含む濁った河です。
この川の左右は、長い汽水域でマングローブの林が続きます。
夕方、プレギサス川沿いでは、群れで巣に戻るショウジョウトキを見ることができます。
驚くほど真紅に染まった美しい鳥です。
この赤色の源は、レッド・マングローブに含まれるカロテノイドです。
マングローブの森で、カロテノイドを吸収したプランクトンをエビやカニなどが捕食して、そのエビやカニをショウジョウトキが捕食することで、カロテノイドはより蓄積して真紅になるのだとか。
マングローブの森の住人として有名なのは、オマキザルの一種です。(Capuchin Monkey)
プレギサス沿いの小さな砂丘・バソウリの船着き場では、餌付けされているので簡単に出会うことができます。
6年ほど前は、まだ人に懐いてなかったのですが、今ではすっかり人に懐柔されてしまっています。
マングローブの森は、野鳥の住みかです。
夕方には、トキ以外にも多くの鳥を観察できる、ちょっとした野鳥の宝庫になります。
レンソイスの砂漠を歩いていると、小さな草食動物の糞を眼にします。
家畜のヤギの糞です。
オアシスの人々の家畜は半野生で放牧されています。
オアシスから大西洋へ流れる河に沿って、少しだけ生える草を求めて、家畜のヤギは移動しています。
人と共存しながら、レンソイスの生態系の一部に、ヤギなどの放牧された家畜も組み込まれているのです。