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南極の入口:サウス・シェットランド諸島に上陸-探検船で行く南極クルーズ-
ウスアイアから2日間かけてドレーク海峡を越え、ようやく南極に到着する。
大洋のかなたにぼんやりと陸地が見えてきた時には、少し安堵する気持ちとともに、南極大陸への期待に船内が静かに湧き立つのを感じる。
南緯62度のサウス・シェットランド諸島は、約100年ほど前にはイギリスの捕鯨基地として栄えていた。
地理的に南極の入口のような場所なのだ。
大洋の航海の末に辿り着く「地の果て」南極にようやく到着したわけだが、まだ大陸そのものに着いたわけではない。
南極半島はさらに少し南にあり、大陸の南極点まではまだ約3000キロほどある。
丸2日間も船に揺られていたので、下船して上陸しても、まだ体の内部に揺れを感じてしまうだろう。
上陸して、最初に出迎えてくれるのは、ジェンツーペンギンだ。
嘴の橙色が特徴的なジェンツーペンギンは、わりと温暖な地域を好み、サウスシェットランド諸島や南極半島で大いに繁栄している。
地面が露出した岩場は一面がペンギンの集団営巣地(ルッカリー)だ。
夏にあたる2月は、サウス・シェットランド諸島では、ペンギンの雛鳥は産毛が抜けている頃であった。
巣立ちを目前に控えて、体も大人とほとんど同じ大きさだ。
上陸してすぐ気づくのは、ペンギンの糞の匂いだろう。
少し糞が赤色なのは主食であるオキアミの色だ。
これからの南極では、この糞の匂いは普通となるのだ。
南極の生物全体を支えるほどに、オキアミはいったいどれほど生息しているのだろうか。
南極の海は無限に豊穣だ。
最初に上陸したリビングストン島では、往復2時間ほどのハイキングをする。
湾の対岸の巨大な氷河を望みながら、足元のペンギンを踏まないように気を付けながら歩く。
真夏の南極は、内陸とは異なり、割と温暖だ。
天候が崩れ始めると、雪ではなく雨が降り始めた。
地表が露出した部分には、植物も生息している。苔類や地衣類だ。
苔の絨毯を歩くペンギンの後ろ姿が印象的であった。
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