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野生動物を撮影するための心得
パタゴニアの大草原を象徴するラクダ科のグアナコは、写真撮影するのが割と簡単な野生動物です。といっても車から急いで降りてカメラを向ければ、たちまちグアナコは逃げてしまうでしょう。
野生動物にフィールドで出会い、同じ瞬間を彼らと共有することは、天文学的な確率の果ての巡り合いです。そのひとときを写真に収めることができたなら、それはとてつもない幸運なことなのです。
しかし、彼らは弱肉強食の原理で生きる野生動物であり、情緒的なヒトとは異なります。生き残るために常に警戒を解きません。
そんな野生動物に近づいて、写真を撮らせてもらうために必要なのは「忍耐」に尽きるでしょう。
パタゴニアのグアナコを撮影するために
パタゴニアでグアナコを撮るには、まず国立公園や自然保護区に行くことが最も効率的です。グアナコはその区域内で保護されていることを知ってか知らずか、群れを成して道路の近くにいることが多いからです。チリ側であれば、パイネ国立公園はグアナコの撮影に適しています。
グアナコは群れで生きる社会性のある生き物です。群れには見張り役がいて、常に高台で周囲を監視しています。唐突に近づけば、監視役のグアナコは警戒音を上げてグアナコ達は逃げてしまうでしょう。
グアナコ達にとって、自分は異物であることを認識して、息を潜めて少しずつグアナコの呼吸に合わせていく。
そのとき、グアナコそれぞれが持つある一定の間合いに気づくでしょう。一定の間合いより近づくと、グアナコ達は逃げてしまいますが、時間をかけてグアナコとともに動いていると、警戒心は徐々に薄れていき、間合いはさらに狭くなるものです。
我々ヒトによる音は、彼らにとって異音そのものです。間合いを詰めながら、目と耳を澄ませてグアナコになったような気持ちで寄り添っていると、気づけば群れの真ん中に自分がいることに気づくでしょう。
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