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アルゼンチンの辺境エリア:ウマワカ渓谷
地層により様々な色に輝くことで有名なウマワカ渓谷は、別名「虹の谷」とも呼ばれます。アルゼンチン旅行で徐々に注目されているエリアです。
ウマワカ渓谷は、アルゼンチン北部のボリビア・チリ国境部にある辺境地区です。文化的には、アルゼンチンというよりはボリビアやペルーの先住民文化の方が優勢です。インカ帝国の首都クスコからはるかに遠い、ここアルゼンチン北部地方もまた、昔はインカ帝国の一部であったのです。
『辺境残存の法則』とは
『辺境残存の法則』という言葉をご存じでしょうか。繁栄した文化とは常に膨張するもので、その文化圏はいずれ辺境地区に達します。そしてその文化が一つの頂点を越えた時、中心部では別の文化がとって変わるように興隆するものですが、辺境地区までその攻防は届かずに、いつまでもかつての文化がそのまま残る、という法則です。
たとえば、敬虔なチベット仏教国のブータンは、“ニンマ派”と呼ばれる宗派のチベット仏教です。このニンマ派は最古の宗派で、チベット仏教発祥の地・ラサではすでに“ニンマ派”は去り、いくつもの宗派が興隆と交代を繰り返しています。
しかし、チベット仏教圏の辺境地区のブータンでは最古のニンマ派が今も主流派として残るのです。
インカ帝国の時代が過ぎ去り、スペインによる激しい侵略と破壊がペルーとボリビアのインカ帝国の中心部をを席捲しましたが、ウマワカ渓谷にはあまり届かなかったかのように、インカ時代の遺跡や名残を今も目にすることができます。
ウマワカ渓谷の基点・プルママルカ村
ボリビアへと南北に続くウマワカ渓谷で、ツーリストの基点となるのがプルママルカ村です。ウマワカ渓谷の世界観は映画「風の谷のナウシカ」に似ています。“風の谷”のような場所がプルママルカ(2340m)です。
荒涼とした谷のオアシスにできた小さな村で、周囲は赤や橙色、そして緑色など、カラフルな地層の断崖に囲まれています。
アンデス山脈の乾季に当たる4~10月は晴天率が高く、高原の空はどこまでも深く青いです。日本では見たことも無いような青黒い空は、きっとそれだけ宇宙に近いのだと思えてきます。
ウマワカ渓谷らしい奇抜なデザインのホテル宿泊
プルママルカ村の世界感を見事に形にしたのが「Los Colorados Cabañas Boutique Hotel」です。まるで別の惑星に来たように思えてくるでしょう。
村の景観に溶け込んだホテルは「3星ホテル」で、大きな間取りにはキッチンや屋上もあります。村から少し離れているので、夜には屋上から星空を望むと「銀河」も見えるでしょう。ホテルから星空観測ができるのも魅力です。
村の中心部までは徒歩10分ほどです。
アルゼンチン北部料理を満喫
アルゼンチン北部料理のサルタ地方に属するプルママルカは、小さな村ながら食事も期待できます。
特にミートパイ「エンパナーダ」で、サルタ産のエンパナーダは『サルテーニャ』と呼ばれ最も美味しいエンパナーダと言われます。
アルゼンチン伝統料理である「ギソ」や「カスエラ」も、アルゼンチンらしい出汁とインカの味が混じりあり、サルタ地方独特の美食となっています。
プルママルカを基点にウマワカ渓谷を巡る
プルママルカに2、3泊しながら、ウマワカ渓谷を巡るのがお勧めです。“14色の谷”として世界的に注目されるオルノカル、巨大なサリーナス・グランデス塩湖を始め、インカ時代のティルカラ遺跡や渓谷のイルーヤ村など、訪問すべき場所はいくつもあります。
アルゼンチンの中でも、特異な風景と文化が広がるサルタ地方において、ウマワカ渓谷はぜひ訪れたい場所です。